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<異端者・白夜>

【登場シーンの少なさ】

白夜は40巻以降の準レギュラーキャラクターとして位置付けられているにもかかわらず、その登場回数は非常に少なく、43・45・47巻にいたってはまったく登場していない

特に45巻では「魍魎丸の最期」、47巻では「桔梗の死」という、物語後半におけるビッグイベントがあるにもかかわらず、まるでそれらを避けるように登場しない。

端役で物語に直接絡んでこないから出てこないのは当然だろう、とも考えられる。

けれども55巻に至り重要な役割を演じることとなった白夜は、配役としての役目を与えられた存在なのは言うまでもない。

その証拠に、48巻以降は連続で登場している。このことから、物語の最後にかけて存在する意味を与えられたキャラクターだと推測できよう。

【白夜登場シーン一覧表】↓

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【他の分身たちとの違い】

そもそも「奈落の分身」とは、奈落が桔梗から受け取った四魂のかけら(13巻)の力を用いて作られた七人の手下※1のことであり、夢幻の白夜はその末弟にあたる。兄弟構成は以下のとおりである。

 

長女:神無

次女:神楽

長男:悟心鬼

次男:影郎丸(獣郎丸の双子の兄)

三男:獣郎丸(影郎丸の双子の弟)

四男:赤子(奈落の心臓)

五男:夢幻の白夜

白夜は他の分身たちと大きく性質を異にする。彼を他の兄弟たちとは異質な存在たらしめる主な要素は、以下二つだ。

 

一つ目は、彼が「奈落と共同体」である点だ。

奈落と白夜の身体が共同体であることが判明するのは、最終決戦でかごめが奈落に矢を放ったとき、彼に命中すると同時に片腕を失うシーン(55-5 84-85)※2だ。以降、奈落がダメージを受ける度、白夜も同様に傷を負う(55-9 165)のだが、これは今までのどの分身にも見られなかった描写であり、その上白夜は最期、

「奈落が死ねば同時に滅びる分身の身だ」

と、共同体であることを告白している。

この台詞は、奈落を殺せば心臓が自分に返ってくる(この点は原作でも正否が明らかにされていない)と確信していた神楽の言動と明らかに矛盾する。

奈落の心臓たる赤子や、その片割れの白童子、鬼蜘蛛の意識が表出した無双等、奈落と身体の結びつきが強い分身はこれまでにもいたが、白夜のように明確に「共同体であること」が描写された分身はいない。

 

二つ目は、「奈落を最期まで裏切らなかった」点だ。これが作中最大の不可解な点であろう。この点が、彼が何者であるかを不明瞭にさせる。白夜は分身たちの中で唯一、最期まで奈落に忠実だった。

白夜は奈落の命令を淡々と実行し、彼の欲望を叶える。

時折言動をからかうことはあっても、彼の行動理念を否定したり(その代わり肯定もしないが)、自分を駒として扱うことに嫌悪感を感じたりしない。

その上、他の分身たちが畏怖にせよ軽蔑にせよ「奈落と自己との上下関係」を意識せざるを得ない感情を彼に向けているのに対し、白夜だけは奈落を恐怖や心酔の念で「上に見る」こともなければ、かといって同情や軽蔑で「下に見る」こともない。

白夜だけは奈落と極めて対等な、いわゆる「タメの関係」を築いている。

また、彼は誰に対しても態度や感情を変えない。自らに殺意を向ける犬夜叉や殺生丸に対しても奈落と同様に人懐っこく(あるいは馴れ馴れしく)接している。そこに緊張感は感じられない。

端から見て異様な言動としか言いようがないのだが、彼が自身について語るエピソードはないので、劇中の行動にどのような背景があるか我々にはわからない。

死に際も異様にあっさりとしており、「未練はない」とまで言い切ってしまっている。
 

※1鬼蜘蛛の意識そのものである「無双」、赤子の片割れである「白童子」、赤子(白童子)が“鎧”として作りあげた「魍魎丸」は事情が特殊なので、ここでは除外する

※2これ以降、原作からの引用部分は一律、(巻数-エピソード数 ページ数)の順で示す。
底本として使用したのは、「犬夜叉」少年サンデーコミックス 全56巻 1997年5月から2009年2月発行とした。

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